建設業で特定技能を採用するには?働ける職種や費用について解説
特定技能は日本の労働力不足を解消するために創設された制度で、この制度を利用して多くの外国人が日本で働いています。
人手不足が深刻化している建設業の分野でも特定技能の採用が進められています。
そこで、この記事では建設業における特定技能の採用について解説をしていきます。特定技能が従事できる職種や採用するにあたっての費用などについても触れていきます。
これから特定技能の受け入れを考えている建設業の方は参考にしてみてください。
特定技能とは?
特定技能は外国人が日本で働くための制度です。この制度は、2019年に日本政府によって導入され、日本における労働力不足の解消を図るために設けられました。
特定技能の在留資格を持つ外国人材は、日本での就業が許可されます。特定技能として働ける分野は現在12分野となっており、建設業もその中に含まれます。
特定技能「建設」で外国人材が働くことのできる職種
特定技能「建設」では以下のような職種で外国人は働くことができます。
土木区分
型枠施工/コンクリート圧送/トンネル推進工/建設機械施工/土工/鉄筋施工/とび/海洋土木工/その他、土木施設の新設、改築、維持、修繕に係る作業
建築区分
型枠施工/左官/コンクリート圧送/屋根ふき/土木/鉄筋施工/鉄筋継手/内装仕上げ/表装/とび/建築大工/建築板金/吹付ウレタン断熱/その他、建築物の新築、増築、改築若しくは移転、修繕、模様替又は係る作業
ライフライン・設備区分
電気通信/配管/建築板金/保温保冷/その他、ライフライン・設備の整備・設置、変更又は修理に係る作業
このように様々な業務を特定技能外国人に任せることができます。
ただし、特定技能資格を取得するためには、評価試験や日本語試験に合格する必要があります。
外国人材が自身のスキルや経験に合った職種で働くため、建設業界への貢献が期待されています。
特定技能1号「建設」を取得するための要件
外国人が特定技能1号「建設」を取得するためには、以下の要件を満たす必要があります。以下はその主要な要点です。
特定技能評価試験
建設業で特定技能1号を取得するには国交省の定める「建設分野特定技能1号評価試験」に合格する必要があります。
日本語試験
特定技能外国人は一定レベルの日本語能力が求められ、「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験のN4以上」のいずれかに合格しなければなりません。
これらの要件を満たすことで、特定技能1号「建設」を取得し、日本の建設業界で働く資格を得ることができます。
特定技能「建設」技能評価試験とは
建設分野特定技能1号評価試験
建設分野特定技能1号評価試験は、特定技能1号「建設」を取得する外国人材のスキルを評価する重要なプロセスです。
この試験では、特定の建設職種に関する基本的な技能と知識がテストされます。例えば、鉄筋工、コンクリート工、大工など、専門職ごとに異なる評価基準が設けられています。
評価試験では、外国人材が建設業務を安全かつ適切に行えることを確認するため、以下のような内容が含まれます
- 基本的な技能テスト: 試験官によって外国人材の建設技能が評価され、作業の正確性や安全性が確保されているかどうかがチェックされます。
- 安全に関する知識テスト: 建設現場での安全に関する知識やルールを理解しているかどうかが評価されます。
特定技能1号評価試験の合格は、外国人材が日本の建設業界で必要な技能を持っている証明となります。
日本語試験に合格する
建設業で特定技能の資格を取得するためには、日本語能力試験JLPTのN4以上、もしくは国際交流基金日本語基礎テストに合格する必要があります。
日本語の試験は、外国人材が日本での建設作業において円滑なコミュニケーションを取り、安全な作業環境を確保できることを確認するためのものです。
特定技能外国人を建設会社が採用するには
特定技能外国人を採用したい場合、建設業の企業は以下の要件を満たす必要がある。
国土交通省による建設特定技能受入計画認定を受ける
建設業界における外国人技能実習生の受け入れには、他の業種とは異なる特別な手順があります。
この分野で「特定技能」の在留資格を持つ外国人を雇用するためには、雇用企業が国土交通大臣の認定を受けた「建設特定技能受入計画」を策定し、実施する必要があります。この計画には、外国人労働者に支払う報酬額などが明記されています。主な審査基準としては以下のようなものがあります。
(1)同一技能の日本人と同等額以上の賃金を支払うこと(同一賃金同一労働)
(2)特定技能外国人に対して、月給制により報酬を安定的に支払うこと
(3)建設キャリアアップシステムに登録していること
(4)1号特定技能外国人(と外国人建設就労者との合計)の数が、常勤職員の数を超えないこと
さらに、特定技能外国人を受け入れる企業は、建設業の許可を得るとともに、一般社団法人建設技能人材機構(JAC)か、それに加盟する建設業者団体にも加入する必要があります。
支援体制の義務を果たす
特定技能所属機関として活動するには、業種別の協議会への加盟が必須であり、法令の遵守や適切な支援体制の整備など、一定の基準を満たすことが求められます。
これらの機関は、特定技能外国人労働者への包括的なサポートを提供する義務を負っています。例えば、住居契約時に連帯保証人となるなどの支援が含まれます。しかし、これらの支援業務は「登録支援機関」に委託することも可能です。
特定技能「建設」外国人材受け入れ費用について
特定技能1号外国人を雇用する際のコストは、雇用の方法によって異なりますが、彼らには日本人労働者と同等以上の給与を支払うことが法的に義務付けられています。
建設業界で特定技能1号の外国人を採用する場合、受け入れ企業は「受入れ負担金」と呼ばれる月額の費用を負担する必要があります。この負担金は、一般社団法人建設技能人材機構(JAC)に支払われます。さらに、JACの会員費も別途発生します。JACの正会員の年会費は36万円、賛助会員は年会費24万円ですが、登録支援機関については企業の契約数によって異なります。
受け入れ負担金に関しては、海外での試験に合格した者(JAC指定の海外教育訓練を受けた場合)の年間費用は24万円、海外試験合格者(海外教育訓練を受けない場合)は18万円、国内試験合格者は16万5千円、試験免除者(例えば技能実習2号を修了した者)の場合は年間15万円です。
これに加えて、登録支援機関への委託費用も発生するため、総コストはこれらの費用を合算した額になります。
まとめ
特定技能「建設」の外国人材受け入れは、日本の建設業界において労働力の補完と発展に貢献する重要な要素です。
特定技能の取得要件、技能評価試験、国土交通省認定、支援体制整備、受け入れ費用に関する情報を理解し、外国人材の安全な労働環境とキャリア発展をサポートすることが不可欠です。
建設業界が法的要件と倫理的責任を遵守し、多様なスキルを持つ外国人材を受け入れることで、業界の競争力向上と安定的な成長が実現します。